全身麻酔中の記憶

ふと、こんな論文のタイトルにひっかかって、麻酔下手術中に意識があるという現象について調べてみた。といってもen.wikipedia引いただけだが。

手術中に意識があるとは、どんな状況か。
まず、筋弛緩薬を使っているから全く動けず、ものも言えない。それに人工呼吸器で息をするから、のどにチューブが突っ込まれているし、やはり自分でコントロールできず息苦しさを感じる。手術の痛みを感じるケースもあるらしい。とにかく経験者の94%がパニックになった、と答えているのだから恐ろしい。そのときの恐怖体験の程度などにより、そのまま忘れられる人もいれば、トラウマになって以後の人生が狂ったり、自殺する人もいるらしい。こんなにひどい状態でも、手術中に血圧も上がらないのだろうか。

これが、古い統計では0.1%、新しい巧妙な調査では、0.0068%の割合で起こったという。おそらく、訊き方による部分もあるのだろう(一部は、単なる夢だったとか)。私は、この話自体は聞いたことがあったけど、なんとなく都市伝説的なものと思って忘れていた。

日本人でも報告があるのかと思ったら、患者側にも麻酔科医側にも思いっきり認識されている。私はひどい閉所恐怖があってMRIも撮れないのだが、この麻酔のほうが想像するだに恐怖である。

一番気になるのが、0.0068%しか起こらないと言っても、それは記憶が残っている人しかカウントしてないということだ。ひどい目に遭ったけど憶えていないというのは、薬物でも脳外傷でも起こることで、記憶がないからといって経験がないとは限らない。記憶があれば、意識があったことの唯一の主観的な証拠となるが、記憶がないことは何も意味しない。

もしかして、全身麻酔の半数が痛み・苦しさ・恐怖を経験していたら?いやすぎる。全身麻酔薬だけに頼らず、マイナートランキライザーでも併用してほしいなぁ。いや、その前に手術を受けたくないけど。

今から拷問しますけど、終わったら忘れますから心配しないで、と言われたとき、どう反応すべきだろうか。いや絶対イヤだけど、忘れないよりは、マシなんだろうか。