分娩数を知らないということ

catsnrats2008-11-02

ブログを始めてから、他人のブログをよく読むようになったため、自分のブログを書く時間がない。昔、手でチマチマとHTMLを書いて日記を公開していたときは、他に書いている人が少なくて、読むものはあまりなかった。ここ何日か、本と奇妙な煙にお世話になり、そこから紆余曲折を経てhiroyukikojimaの日記にたどり着いたあたり。

その流れで知ったのだが「大学への数学」の別冊だった「解法の探求」が廃刊になるらしい。私が受験生のころには、すでに活字がヘタっていた記憶があるのに、いまだに出ていたか。これを「解探」と呼んでいたのも思い出した。ついでに物理と化学は「標準問題精講」だった。私の時代の装丁を探したけど、古すぎてネット上にはなかった。高三の夏休みに、通して3回やったら、たちどころに霊験あらたかであった。私の子供の世代になると、受験人口はあのころの半分だから、必然的に程度は下がっているだろう。私には温暖化よりも少子化のほうが恐ろしい。もたらす被害が、より明らかだからだ。どう見ても自分より勉強ができない医者。こわい。

こちらの日記で知った読売新聞の誤情報「一日に28分娩」は、派手な間違いではあるが、普通の人はこのレベルと考えるべきだ(今は月に28分娩と、訂正されている)。単なる誤植ではなく誤認だと思われるのは、三浦俊彦著「論理パラドクス」にも、こんな問題があるから。

月に500人の子供が生まれる大病院と、月に300人の子供が生まれる中病院と、月に100人の子供が生まれる小病院がある。(中略)ある病院で、この一ヶ月に生まれた赤ちゃんのうち6割が男の子だったという。どの病院である可能性が高いか。

月に100人で小病院とは、やっぱり多すぎる。この著者は決してテキトーな人ではなく、全般的に設問は用心深く作られているので、それだけにこれはガチで認識が誤っているのだろう。あと、この本は、こんなつまらない問題ばかりではない。これは単なる大数の法則の紹介である。

一般人にとって医学的な知識は、興味はあるけど本気で勉強したいものでもない。基本的な医学知識なしに生活するのは、マニュアルを読まないで機械を使っているようなものだ。その証拠に、ほとんどの人がそうしている。人が最後は死ぬっていうような最も基本的なことからして、できれば知らないで生きていたいものだ。

そこへ持ってきて日本人は、よそと比べて子供が好きじゃない。デパートの中や地下鉄構内でバギー押していたらいやな顔をされるような国は、日本だけだ。あながち「こじつけ」じゃなくて、これで病院あたりの一日の分娩数を承知しているはずがない、と言うも可なり。少子化の問題は、まず、もっと共有されるべきだろう。